先日、子どものバスケ合宿に保護者として帯同した際、アイシングのやり方についてご質問を受けました。
アイシングの目的は炎症を抑え、腫れ・痛みを緩和させることでケガの悪化を防ぐことですが、正しく行えている人は意外と少ないようです。
そこで今回は、アイシングの効果を最大限得るために気を付けて頂きたいポイントをご紹介します。
患部を冷やす事で血管が収縮し、腫れや内出血を最小限に抑えることができます。
また、痛みを伝える神経の興奮を鎮めることにより、麻酔効果も期待できます。
スポーツの現場で最も多く使われるのは、氷嚢(ひょうのう)によるアイシングです。
氷嚢(なければビニール袋など)の中に氷を入れ、患部を直接冷やす方法ですが、この時に注意して頂きたい5つのポイントをご紹介します。
基本的に、氷嚢の中に水は入れません。(少量ならOK)水を入れると氷が溶けやすくなる為です。
氷の表面にある霜を落とすため、水で流した氷を使用すると良いでしょう。
ただしビニール袋の場合は氷嚢に比べて薄いので、冷たすぎると感じる場合には少量の水を入れても良いと思います。
重要なポイントです。中に空気が入ってしまうと患部に密着しづらくなり、アイシングの効果を得られない場合があります。
空気の抜き方には以下2つの方法があるので覚えておいてください。
氷嚢に氷を入れたら、雑巾を絞るように中の空気を搾り出し、空気が抜け切ったところで蓋をします。
僅かに空気が入り込んでしまいますが、スピーディーにできるのが特徴です。
氷嚢に氷を入れ、形を平らに整えてから口で空気を吸い出す方法です。
空気はしっかりと抜けますが、衛生面に気をつけましょう。
中の空気を抜いても、患部から外れた所を冷やしてしまうと効果は得られません。
しっかりと患部に当て、更に弾性包帯などで軽く圧迫すると良いでしょう。
冷たすぎる場合には、水で濡らしたタオルを挟んでも良いと思います。
アイシングでは血管を収縮させた状態を、ある程度の時間、持続させることで効果を発揮します。
患部に氷嚢を当てると、始めは冷たく、針でつつかれるような痛みを感じますが、しばらくすると暖かく感じるようになり、その後、感覚がなくなります。(麻酔効果が現れる)
それまでの時間が概ね15〜20分程度ですので、それぐらいを目安にしてください。
アイシングの麻酔効果や血管収縮の効果は一時的で、アイシングを止めてしばらくすると再び血管は拡張します。
その際、ズキズキと痛みが出るようなら炎症は続いている証拠ですので、繰り返しアイシングを行いましょう。
バケツの中に水と氷(保冷剤なども)を入れ、患部を浸ける方法です。
足首の捻挫などに効果的です。
紙コップの中に水を入れて凍らせ、コップ上部1〜2センチほどを切り取って氷を露出させ、患部に直接当てる方法です。
事前に準備が必要なことと、凍傷を防ぐ為に一点に留めずゆっくり動かす事が重要となります。
コールドスプレーは急激に冷やすことによる麻酔効果が期待できますが、体の表面しか冷やせません。
連続して当て続けることで凍傷の危険性が高いので、注意して使用しましょう。
氷で直接冷やしたり、長時間のアイシングには注意が必要です。
20分程度または感覚がなくなるのを目安に、一時中断しましょう。
アイシングは、ケガの応急処置としては最も身近で効果的です。
より早期に競技復帰できるよう、正しく行いましょう。